前回、私が怒られた撮影方法の記事が好評でした。
基本的にこのブログは初心者の皆さんに向けての撮影ハウツーブログの目的で立ち上げましたが、前回の反響を受けまして、ちょっとだけですが私のカメラマン体験記のような記事も書いていきます。
あくまでも私の体験なので世の中のカメラマンの全てに当てはまる訳ではないですが、カメラマンがどのように仕事をしているのかという一端をお見せできれば思います。
落ちなきゃ怪我しません
(写真はイメージです)
まず、最初にご紹介するのは、とある工場撮影で経験した恐怖体験です。
金属加工の会社を紹介するパンフレット制作の案件で、写真の要望としては工場の全景写真も撮影して欲しいという依頼でした。
まあ、工場の2階から撮影すればいいかー
なんて気楽な気持ちで現場に向かい撮影開始。
そしていざ、工場全景写真の撮影になり、案内された場所は…
高さおよそ10メートルほどの錆びついた螺旋階段、しかも手すり無し…。
「あの?ここを登るんですか?」
と担当の方に聞くと…
「はい、大丈夫ですよー、普段登ってますから、落ちなければケガしません(笑)」
ちょっと言っている意味がわからない…。
だからと言って躊躇しているわけにもいかないので、意を決して錆びた螺旋階段をなるべく内側を通るようにして登りました。
途中では所々穴なんかも空いていて、それがより一層恐怖感を煽ったのを思い出します。
へっぴり腰で上までたどり着き、さっさとシャッターを切って、またゆっくり生まれた子鹿のように降って行ったのでした。
大丈夫ですか?
(また写真はイメージです)
今度は玉子加工工場での体験です。
こちらは会社案内制作の為の写真撮影でした。
季節はちょうど梅雨の蒸し暑い時期、集合時間は朝の5時…、しかも担当営業が寝過ごすという、なにやら行き先不安なスタートでした。
こちらの会社ではレストランやスーパーに卸す玉子焼きを製造する会社で工場は朝6時から稼働し、昼過ぎには終わってしまうというスケジュールでした。ですので朝が早いというのはこういった理由があったわけです。
食品工場ですので、髪の毛が落ちないように頭には紙のネット帽、白衣を着用、マスクもして、エアーシャワーをくぐり、しっかりと手洗いもして、ようやく工場内に入ることができます。
こちらの工場は機械が自動で玉子焼きを作るのではなく、人の手で一つ一つ手焼きをしていく工場で、中には巨大なガスコンロが並んでいました。
その中を職人さんが一つ一つ丁寧に玉子を焼いていくのですが…
なにせ熱い!業務用のガスコンロなので火力もかなり強く、工場内はまるでサウナのようでした。
最初のうちは私も平気だったのですが、徐々に熱とマスクの息苦しさで頭がボーとしてきてフラフラに…。
一通り撮影が終わり、外に出ると、同行していた社長さんに…
「大丈夫ですか?」
と心配される始末…。
お話によると、真夏はさらに温度が上がるとのこと、6月の今頃だったら涼しい方ですよとのことでした。
サウナのような場所でお仕事をされている職人さんに尊敬の念を抱くことになった撮影でした。
どけ!邪魔だ!
(再び写真はイメージです)
こちらの撮影は求人サイト制作の為の撮影案件で、クライアントは物流会社。
港で海外に向けてコンテナや車、トラックの荷台を船に積み込む会社です。
撮影自体はガントリークレーンというよく港で見れるキリンのような巨大なクレーンのコックピットの撮影、コンテナを運ぶ特殊なフォークリフトの撮影など普段では接することのない機械や車を間近で見ることのできる、個人的には楽しい現場でした。
撮影の締めは、巨大なトレーラーが貨物船の中へ入り、その荷台をテニスコート何面分か分からないほど巨大な場所に積み込む場面でした。働いている方は戦国武将のような屈強な男たち、次々と入ってくるトレーラの荷台を分離させて、巨大な鎖で固定していく様子を撮影するのですが…。
「そこ!立ってたら危ねぇぞ!」
「お前邪魔だ!」
「死にテェのか!」
大人になってここまで怒鳴りつけられたことはありませんでした…。
まぁ、気を抜いたら大怪我につながる現場だったので、それだけ働いている方は安全に気を使っているということなのですが。
こちらも印象深い撮影現場でした。
ニコニコ笑顔
(当然写真はイメージです)
最後にご紹介するのは、とある業界団体の記念式典を撮影した時のことです。
こちらは、記念誌制作の為の写真撮影でした。
記念式典だったので団体のさまざまな役員の方たちが順番に挨拶をされるのですが、最後に某有名政治家の方が締めの挨拶をすることになっていました。
その様子をカメラに収めるので喋っている方に接近をするのですが、いよいよ某政治家の出番になると、私の両隣に人影が…、気配を感じた私は左右に目をやると、そこにはスーツ姿のラグビー日本代表のような体型の男性が立っているではありませんか、しかも耳からイヤフォンのような物をつけている。
私は気づきました。
「え、SPだ…」
つまり、セキュリティポリス
そう、岡田○一とか堤○一がドラマでやっていたあれです。
しかも、私の左側にたっていたSPは私の顔を見てなぜかニッコリ笑顔を向けてくる。
「お前、妙なことするなよ」
と、私はその笑顔から真意を汲み取りました(たぶん)
そして某政治家が挨拶のために登壇、私はこれが最後の撮影だと思ってカメラを向けたのでした。
(もちろん逮捕されずに終了しました)
だからカメラマンは面白い
私がこの仕事を始めて一番よかったなと思ったことは、普段いけないような場所、普段会えないような人などに行ったり、会えたりできることだと感じています。もちろん、おっかない事や正直腹の立つこともありますが、それも含めてカメラマンのメリットなんだと思っています。
今後もこんな細やかな経験談ですが書いていこうと思いますので、お付き合いくだされば幸いです。
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