私が子供の頃の話です。
親戚三人で写真を写す事になった時に。
「バアちゃん、真ん中うつりーよ」
と私
「真ん中で写ると早死にするけんヨカ!」
と祖母が言っていた事がありました。
今ではあまり聞かれなくなってしまいましたが、私が子供の頃は耳にする事がチラホラありました。
もちろん迷信の類ですが、今になって考えると不思議な事だと思うのです。
そこで今回は写真の中心に写ると早死にするという迷信について書いていきます。
事の起こりは幕末から
日本に写真技術が入ってきたのは1853年から1854に起こった黒船来航だと言われています。
日本に開国を迫ったペリー艦隊の一員にエリファレット・ブラウン・ジュニアという人が写真家として随行しており、当時の日本の風景や人物を撮影したのが日本で初めて撮られた写真といわれています。
その後、日本における写真の祖とされる上野彦馬が1862年に長崎にて写真館を開き、ここから日本の写真文化の黎明期が訪れるのでした。
(ちなみに有名な坂本龍馬や高杉晋作も上野彦馬のスタジオで写真を撮影しています)
魂が抜かれると思われた
長崎の他にも写真館は何店か開かれたようになりましたが、当時の日本人には気味悪るがられたようでした。
なぜなら今と違い、一枚の写真撮影に30分もかかり、しかも写されている間は少しも動く事が許されないという過酷な現場だったのです。
そりゃ、疲れますよね。
で、写しだされる、絵とは違う鮮明な自分の姿……。
当時の人はこう思ったのかもしれません…
変な箱に魂を抜かれた……
しかも当時のカメラはピント精度も悪く、三人で写ると真ん中の人だけが鮮明で、周りの人はボヤけている…。
当時の人は…
「え?長い時間、箱の前でジッとして、しかもなんか真ん中の人間だけちゃんと写ってる……」
きっと、真ん中のヤツだけ余分に箱が魂を吸い取っているからだ!
つまり…
魂が抜かれる→寿命が縮む→しかも真ん中はより多く→真ん中は早死
のような思考になったと考えられます。
それが時代の流れとともに
「写真で真ん中に写るのは早死する」
という迷信につながったとされます。(個人的な推測です……)
年長者を真ん中にするから
他の理由として、集合写真を撮影する場合に年長者を真ん中にするからという説もあります。
上記で書いた私の祖母のように、集合写真の場合は年長者や目上の人を中心に撮影をすることが多くあります。
つまり
年長者を真ん中に→基本的には順番が早く来る→写真の真ん中は早死
という噂が自然発生的に広まったのではないかと考えられます。
ちなみに、この迷信は日本特有のもので海外にはないものだそうです。
スマホで自撮りする場合は真ん中で
時は流れ、スマホで自由に撮影を楽しむ現在では真ん中で写る事をお勧めします。
スマホカメラのレンズは広角レンズを使用しているため、歪んで撮影されてしまいます。よって写真の端であればあるほど歪んでしまうため、真ん中で撮影するより約20%ほど太って写ってしまうという結果も発表されています。
(メーカーによって違うとは思いますが……)
ですので、ありのままの姿をスマホで写したい!と思うのでしたら、ぜひ真ん中のポジションを抑えてみてください。
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